和牛の受精卵が中国に!?ニュースの問題点を整理・考察してみた
国内だけでなく、近年では海外からも高く評価されている和牛。
美食家をはじめ、一流のシェフにもファンが多く、年々需要は高まっています。
そんな和牛の受精卵が、日本から不正に持ち出される事件が起きました。
このページでは、そのニュースの概要と問題点などを掘り下げて見ていこうと思います。
和牛の受精卵が国外へ持ち出される
家畜伝染病予防法により日本で輸出が禁止されている和牛の受精卵が、2018年7月に中国に持ち込まれていたことが分かりました。
受精卵は特殊な容器に入れられていて、日本側の検査を通過。
フェリーで中国に入国しようとした際に税関で止められたようです。
犯人は大阪府の男性で「知人から依頼された。違法とは知らなかった」と供述しています。
農林水産省は2018年12月、受精卵を不正に国外へ持ち出した容疑で犯人男性の刑事告発の検討をはじめました。
ちなみに、和牛の受精卵が国外に不正流出しそうになったことが発覚したのは今回がはじめて。
吉川貴盛農相は「大変遺憾。農林水産省として再発防止策をしっかり講じなければならない。今後、告発の手続きも進めていきたい」と述べています。
また農林省は今回のことを航空・フェリー会社、税関に注意喚起するとともに、日本各地の人工授精所に管理の徹底などを求める、としています。
なにが問題なのか?
和牛の受精卵が海外に持ち出されるのは違法なので、これ自体が問題なのは言うまでもありませんが、その他にも見逃すことのできない問題があります。
ひとつは、農水省と捜査当局の対応。
受精卵の持ち出しが判明したのは、2018年の7月で刑事告発の検討がはじまったのが12月です。
分かってから実際の動きまでに5ヶ月くらいかかっていて、非常に動きが遅いです。
どうやら常習性が認められないため、故意に持ち出したと立証するのが難しいということで、厳重注意にとどまっていたようです。
もうひとつは、出国検査の緩さ。
今回は中国側の税関で見つかったので水際で食い止められましたが、そもそも日本側の検査がしっかりしていればこんなことは起きていませんでした。
出国検査の見直しや厳格化が必要
そもそもなんで和牛の受精卵が中国に持ち出されたのか。
その背景には中国での和牛人気の高さもあるんじゃないかと思ってます。
中国人には神戸牛(神戸ビーフ)が特に人気なようで、なかには神戸牛を食べに日本を訪れる方もおられるようです。
この人気に目をつけ、中国国内での和牛の育成、もしくは転売を目的に受精卵の持ち出しが計画されたんじゃないかと考えられます。
報道では犯人は大阪に住む男性とのことですが、詳細は明らかにされていません。
- 日本人なのか、外国人なのか
- 受精卵を持ち出せるということは畜産業の関係者なのか
- 依頼したのは個人なのか、組織なのか
- なんらかの対価があって犯行に及んだのか
再販を防ぐためにも、不明なことは徹底的に調べて明らかにしてもらいたいですね。
和牛は家畜伝染病予防法によって規制される前には、オーストラリアに流出したことがあり「WAGYU」として輸出されてます。
また和牛以外にも苺や葡萄などのブランド果物の苗が韓国などへ流出し、それをもとに栽培された果物がアジアで販売され本家と競合しています。
日本の農家が心血を注いで作り上げた資産が盗まれ、そのコピー品に苦しめられているわけです。
和牛はとても長い時間をかけて税金などの資金を使って育種改良を行って生み出された、いわば国民の共有財産と言ってもいいブランドです。
日本の畜産農家の生活、引いて国の利益につながることになりますから、出国の際の検査の根本的な見直しが必要なのではないかと思います。
まとめ
さて、ここまで和牛の受精卵が中国へ持ち込まれたというニュースを解説してきました。
まとめると
- 和牛受精卵の海外への持ち出しは家畜伝染病予防法により禁じられている
- 農林水産省と捜査当局の対応、出国検査に問題あり
- 出国検査の見直しや厳格化が急務
という3点になります。
今後は入管法の改正により日本で働く外国人は増え、また東京オリンピック開催や大阪万博など外国人が日本に滞在することが多くなります。
それだけに今回のことを教訓に、出入国検査の厳格化を早急にしてもらいたいものです。
当サイトでは、高品質で人気のブランド牛を安心して購入できるネット通販サイトをランキング形式で紹介しています。
- 記念日や季節の贈り物にブランド牛を贈りたい
- パーティーの目玉メニューにブランド牛を出したい
といった方はぜひ参考にしていただければと思います。