米沢牛枝肉共進会で最高額の1億2960万円を記録!その要因は?
?高値を更新した要因は、需要が増えたことと、上場された枝肉の品質が高かったことにあります。
米沢牛枝肉共進会は、年1回米沢市食肉市場で行われる米沢牛のチャンピオンを決める品評会です。
品評や生産者同士交流によって枝肉資質や肥育技術の向上を促し、米沢牛のブランド力を高めることを目的に開催されています。
このページでは、2018年に行われた第59回米沢牛枝肉共進会の結果と、過去行われた共進会の傾向を解説しています。
それではまず、今年(2018年)の結果から見ていきましょう。
2018年の米沢牛枝肉共進会の販売総額が過去最高に!
2018年12月6日、年末年始の需要期に向け米沢牛枝肉共進会が開催されました。
今年は置賜地域の生産者から75頭の上場があり、チャンピオンは米沢佐藤畜産の牛です。
424kgのメスの黒毛和種に915万円の値が付きました。
販売総額もこれまで最高額だた2015年を超え、過去最高となる1億2960万円をマーク。
平均価格も一頭あたりが18万7522円、1kgあたりが462円と前年と比べて上昇しています。
要因としては、
- 東北中央道の開通によって地元・首都圏で米沢牛の需要が高まった
- 仔牛の価格が上がり生産数が減って供給量が少なくなった
- 上場された枝肉すべてが4等級以上で高品質だった
などがあると考えられています。
東北中央道の開通は、交通手段が増えたことでアクセスが良くなり地域がにぎわい、また輸送がしやすくなったことで需要が高まったようです。
つまり外部的な要因として需要な高まりと供給の低下がありつつ、上場された牛肉の肉質自体も良かったから最高額を更新できたわけですね。
それでは、過去の米沢牛枝肉共進会はどのような傾向があったのでしょうか。
ここでは、2012年?2017年開催分をいくつかピックアップして見てみましょう。
米沢牛枝肉共進会〜過去の傾向〜
ここ数年で米沢牛の価格に大きな影響を及ぼした出来事は、やはり2011年の東日本大震災でしょう。
震災の被害はもちろん、原発事故の影響も甚大で米沢牛の価格は値下がり。
翌年の2012年、放射性物質が「不検出」の項目が米沢牛の定義に新しく加わり、不安を抱えながら共進会が行われました。
風評被害のただなかでしたが75頭が上場され、結果はA5ランクの404kg雌牛がチャンピオン牛に決まりました。
価格は過去最高値の約2倍にあたる1kgあたり2万6263円を記録。
1頭あたりで計算すると1061万90円と初めて1000万円超えをしました。
状況的には決して良くなかったにも関わらず、こうした結果になったのは国産牛の出荷が日本全国で減少していたことも影響していたと考えられます。
需要に対して供給が少なかったから、高値がついたわけですね。
そしてそれから3年後の2015年。
第56回の米沢牛枝肉共進会では、ふるさと納税の適用者が2014年の435,720人から1,298,719人と約3倍に急伸したこともあって、販売総額が過去最高額を更新しました。
2015年には税制の改正があり、
- 確定申告が必要のない給与所得者
- 5つ以内の自治体が寄付先
ならふるさと納税をした自治体へ手続きをすれば、翌年の住民税が減額できる制度が適用されました。
これによりふるさと納税を利用する人が増え、返礼品として米沢牛に人気が集まったことで高値がついたのだと思われます。
これだけ見てもここ6年で少なくても3回、販売総額の最高額を更新しています。
これについては全国規模で見た国産牛の供給バランス、ふるさと納税、東北中央道の開通など外的な要因も影響していることもあります。
しかし外的な要因であってもたくさんの人が米沢牛を口にするきっかけとなって、その評判から年を追うごとに知名度や需要が高まっているのではないかと、個人的には思います。
そもそも米沢牛ってどんな牛?
定義
飼育者は、置賜三市五町(※1)に居住し米沢牛銘柄推進協議会が認定した者で、登録された牛舎での飼育期間が最も長いものとする。
- 肉牛の種類は、黒毛和種の未経産雌牛とする。
- 米沢牛枝肉市場若しくは東京食肉中央卸売市場に上場されたもの又は米沢市食肉センターでと畜され、公益社団法人日本食肉格付協会の格付けを受けた枝肉とする。但し、米沢牛銘柄推進協議会長が認めた共進会、共励会又は研究会に地区を代表して出品したものも同等の扱いとする。また、輸出用は米沢牛銘柄推進協議会が認めたと畜場とする。
- 生後月齢32ヶ月以上のもので公益社団法人日本食肉格付協会が定める3等級以上の外観並びに肉質及び脂質が優れ ている枝肉とする。
- 山形県の放射性物質全頭検査において放射性物質が「不検出」(※2)であるものとする。
(※1)置賜管内の三市五町:米沢市、南陽市、長井市、高畠町、川西町、飯豊町、白鷹町、小国町
(※2)定量下限値 25Bq/kg
特徴
- 日本3大和牛の一つ
- 山形県置賜地方が産地
- とうもろこし、大豆などを配合したオリジナル飼料を与えて育てる
- 霜降りがきめ細かくとろけるような口当たり
- 豊かな香りの脂
- 料理を問わず美味しく食べられる
まとめ
ここまで2018年開催の第59回米沢牛枝肉共進会の結果、そして過去の共進会の傾向についてお伝えしました。
米沢牛の生産差は2011年の震災、風評被害にも負けず、努力を積み重ねてきました。
そうした地道な歩みが、今回の過去最高の販売総額という結果につながったんだと思います。
肉フェスなどのイベントも大きくなり、牛肉ブームで盛り上がっている昨今。
今後も米沢牛は注目され、生産者はそれに応えるべく切磋琢磨し続け、より美味しい米沢牛の生産を目指していくことでしょう。
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